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住宅地の[広葉樹]伐採−ポールクライミング工法
住宅街の路地裏。樹齢30年13mのクスノキ。
隣家の屋根上にまで立派な枝葉・お隣さまの窓は完全に塞がり、
日差しは全く入らない。年中大量の落ち葉。

素晴らしい枝ぶりのクスノキは、見る人の気持ちを和ませ
なんとも言えない包容力を感じさせるのですが......

ケヤキとクスノキは、住宅街で最もトラブルが多いのも事実です。

またしても、クレーン車が使えないので
「ポールクライミング工法」の登場です。!!
before
ほとんど窓も見えません。
after
やっと隣家に太陽が
依頼主様の庭は2m角程度の箱庭。
ここに樹齢30年13mのクスノキが...

隣家の南面なので、お隣は全く日差しがさえぎられています。また、2階のベランダまで簡単に登れてしまうので防犯上も問題です。2階の雨樋まで、落ち葉で詰まるので隣家にとっては大問題です。日本を代表する樹も、ここでは悲しきトラブル王です。

常緑高木なので、年中青々として素晴らしい木陰を生み、虫除けにもなるので、良い事も多いのですが...

春先に新葉がでると、前年の葉が大量に落ちるので、住宅街ではよくトラブルになります。

今回は、東隣のガレージをお借りしての作業になりました。
小枝を落とします。
クスノキは、中ほどまでは、しっかりしているので簡単に登れます。でも半分以上登ってからが問題です。
上部の枝は細く別れているので、はしごでは危険(不可能!?)です。

ロープクライミング技術で、細い枝の数箇所にロープを巻きつけ、安全確保しながら、慎重に小枝を払っていきます。

最初は適当な枝に滑車をセットして切った枝を下ろします。
こまめに支点を変更
とにかくパズルです。
自分の位置と切る枝の関係を常に考えながら、順番に切断していきます。まず葉の付いた小さなものから、少しずつ降ろします。

地上班は、手早く小枝と葉をきりはなし、少しでも嵩を小さくするために、大忙しです。小枝と葉をきりはなすと半分以下の嵩になります。


ポールをセットします。
ある程度小枝の処理が終わったら、ポールをセットします。
メインの幹は1m程度の長さでも50kg〜100kgあるので、これからが大切な作業になります。

ポールは、主に切断した枝や幹を吊り降ろすために使用しますが、登り降りや安全確保にも大活躍します。

最上部には、2個の滑車と11mmのスタティックロープ2本もセットします。


径がうまく合うよう150mm〜100mmまでのアルミパイプを特注し、自作したすぐれものです。

素早い組み立てが可能で、軽くて強い構造にしました。
ポールはガッチリ固定
ポールのベースは、アンカーボルトや杭でクイガッチリ固定します。自立するように、途中には、アウトリガーもつけてあります。

丈夫な専用のベルトで樹木とも固定しますが、切断に伴い位置を変えて降ろしてきます。

シングルロープクライミングの訓練にも使用しているものなので、クライマーも安心して使用する事ができます。
2箇所吊り
ポールから離れて、横に伸びた枝は、切断箇所と、先の方を別々の滑車で吊ると安全に降ろせます。


グリグリ
クライミング経験のある人なら誰でも知っているグリグリ。
荷物の上げ下ろしには、これが一番!!100kg程度でも一人で安全に降ろせます。
切断した木を降ろすには、「ロワーダウン!」?が合言葉。

シャントやタイブロック・レスキューセンダー等と組み合わせ、3倍力〜5倍力程度のセットをすれば、かなりのテンションが掛けられるので、100kg程度なら何とか引き上げる事が可能です。

これにはいつも感謝感激です。
フェンスぎりぎり
「綺麗な切り口じゃあないけれど..よくまあ、チェーンソーの刃がフェンスにあたらず...」

「そうなんです。間に板を入れたり、苦労しました。」

「ワイヤーや石、これが一番危険なんです。キックバックと言って、チェーンソーの刃が跳ね返ってきて事故がおきる場合が多いんです。」

※ 本来はフェンスをはずしてやるべきですね。 (反省)

有効活用
クスノキは虫がつかないので、仏像や家具に使用されてきました。せっかくの資源なので、ほしい人に分けてあげましょう。
軟らかいので、彫り物や椅子にも簡単に加工できます。ちょっと声をかけてあげれば、よろこんで持って帰る人もいるはずです。

クスノキの木や葉には、強心薬や虫除けで有名な樟脳(カンフル)が含まれているので、少しならさわやか?な匂いがします。
チェーンソーで切っている時は、かなりきつい臭いでたまりませんが、何故か、なつかし〜い、おじいさんの家の臭いのような感じがします。